アスレティックトレーナー(AT)は、クライアントであるアスリートが、スポーツ競技に全力で取り組めるところまでを目指します。アスリートでない普通の生活を送るクライアントであっても、運動やスポーツを楽しめるところまで体を回復させたい。そんな思いで、日々群馬県で鍼・マッサージ治療とアスレティックトレーナー活動をしています。
そんなアスレティックトレーナーが、身体のしくみや治療法についてなど日々のお仕事にまつわるお話を綴ります。
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困ったもんだNHKスペシャル『腰痛・治療革命 〜見えてきた痛みのメカニズム〜』4
JUGEMテーマ:肩こり、腰痛

ある姿勢をとるだけで、慢性腰痛が改善したといいます。
映像を見るだけ(くどいですが、観ただけでなく、体を動かすようになった)では
改善しなかった人のうち、32人/70人に改善がみられたというのです。
たしかに、お尻に手を当てて背(腰)を反らす動作をやる、それも3秒間続けると
言うことは、具体的に腰痛を克服・予防する動作の一つになっています。
深部から腹筋を働かせて腹圧も高まりますし、腸腰筋などのストレッチにもなって
ます。各腰椎胸椎などの間を動かし、多裂筋などの運動にもなります。
こうして、ストレッチ効果により過剰な筋緊張を緩和させ、脊柱の各関節の可動性
を高め、腹圧をあげるなど、それなりに理由が説明できます

ですが、腰痛のリハビリとして、もっと多数の運動を紹介してあげるべきです。
一つしか手がないと、それで上手くいかない時、そこで解決できなくなるからです。

ここで、もっと重篤な方、映像や腰反らしだけでは効果が無く、専門家の治療を受
ける必要がある患者には、認知行動療法が有効だとして紹介しています。
そのなかで、オーストラリアの病院の例が取り上げられていましたが、ここでは一
日のスケジュールが、カウンセリングと運動で埋まっていました。
認知行動療法が有効なことはわかります。それは、映像を見せるだけのやり方とも
基本的には共通していて、体を動かすことへの恐怖や不安を取り除き、自分の体や
周りの環境、その中での自分の行動に対する認知の仕方を変容させ、具体的に好ま
しい行動を起こすことにある
のでしょう。
つまり、体に適した運動をすることへの恐怖と不安を消して、運動する意欲を持た
せることに尽きます。
オーストラリアの病院には、その運動のプログラムが豊富に用意してあり、しっか
りと患者が取り組んでいました。だから、効果が高いのです

それに比べて、福島県立医科大学の方はどうなのでしょう?
よくわかりません。
しかし、番組の説明が、運動が目的ではなく、体を動かしても痛くないと感じさせ
ることが目的のように言っていたので、これにはガッカリしました。

恐怖がなくなれば良いのではなくそこがゴールではない!)、認知行動療法さえ
行なえば問題が解決するのではなく、恐怖がなくなることによって、腰痛を起こさ
ない体の動かし方・必要な筋力と筋のコーディネーションを身につけるリハビリに
入ることができ、それ故に慢性腰痛の克服がなされるのです

恐怖がないからって、すべての慢性腰痛患者が日常生活動作を取るだけで改善しま
すか?腰を反らせる動作をやるだけで充分ですか?
適切なリハビリとしての運動が、絶対に必要です。
そうしなければ、いつか再発します。

NHKスペシャル『腰痛・治療革命 〜見えてきた痛みのメカニズム〜』で言ってい
ることは、ほとんど正しい、でも、まだ証明されていないことにまで踏み込んで一
緒くたにして語っている。また、強調するポイントを間違えているから、誤解を生
じさせ易い。私は、そう思っています。

私が、慢性であれ、急性であれ、腰痛の方を相手する時、治療だけではダメで、何
とか運動で体を動作を変えたいと思っています。そうしなければ、同じ症状を繰り
返すことになると思っています。
ひどい疼痛(腰痛だけはなく)に苦しんで来られた方は、体を動かすことへの恐怖
や不安を抱えていますし、些細なことで激しい痛みを訴えることがよくあります。
そんな方へは、認知行動療法的なアプローチは必要だと考えています

「これは出来ません」を「こうやると痛くないです」へ。
「もう◯◯はできない」から「これなら出来ます」「これなら出来そう」「できま
した」へ。
私自身が痛みが出ないようにコントロールしながら、小さなことから”成功体験”を
味わってもらうことに力を注ぎます

慢性腰痛の克服は、私(セラピスト&トレーナー)とクライアントさんとの共同作
業だと思っています。
http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/

書き忘れましたが、私自身は、原因不明(この番組で脳に原因があるとしている)
慢性腰痛の多くは、筋膜性疼痛があると感じています。
以下のブログ主さんは、私と同じく筋膜性疼痛症候群(MPS)研究会の会員の方
のようですが、参考になります。
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
困ったもんだNHKスペシャル『腰痛・治療革命 〜見えてきた痛みのメカニズム〜』3
 JUGEMテーマ:はりきゅうマッサージ
JUGEMテーマ:肩こり、腰痛

私は、慢性疼痛にとって脳が重要な役割を担っていると言う事は
多少は知っていました。
本来の痛みの原因であった組織損傷が治癒して改善しても、「痛みの回路」が残っ
ているがためにずっと痛みが解消しない、時には増悪さえする
。そうした事も知っ
ているつもりですし、私自身人にはそう説明してきました。
幻肢痛』(切断し無くなった四肢に痛みを感じる)の原因として、そのように説
明され、幻肢痛を防ぐためには四肢の切断手術の前に十分な疼痛コントロール(不
必要な痛みを感じさせないようにする)ことが重要だということも聞いています。

痛みの専門医のペインクリニックでも、神経根や神経節など末梢神経をブロックす
る事だけでなく、脳を対象に脳に働きかける投薬が行なわれている事も招致してい
ます。
しかし、医師が(安易に)「年齢の所為」「ストレスの所為」「気持ちの問題」と
良い出すと、自分の苦しみは理解してもらえないと絶望的な気持ちになる方が大勢
いらっしゃる事も事実です
。そういう方をどれだけ診てきた事か。
医師がそうは言わなくても、この番組のような内容の物を観ると、「なんだ恐怖や
不安?」「気持ちの問題か?」という味方をする方が増える事が怖いのです

事実、番組中、俳優の笹野さんは「病は気から、、、か。」とおっしゃいました。
気持ちや考え方次第とは理解しないで欲しいのです。

NHKスペシャル『腰痛・治療革命 〜見えてきた痛みのメカニズム〜』では、映像
を観るだけで、腰痛が改善する人も何割かいると説明しました。
しかし、慢性腰痛と言っても、その程度は様々です。
http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/a01.html

映像を観るという実験に参加した方は、下記の条件の当てはまらない方です。
  • 横になっても痛い、らくな姿勢がない
  • 鎮痛剤を1か月使用しても、がんこな痛みが改善されない
  • 痛みやしびれが、お尻からひざ下まで広がる
正直言って、3つの条件の方を除外したら、あまり重い慢性腰痛患者は参加してい
ないということがわかります。
そして、映像の教えている事は、「手術では治らない」「怖がらずに動くこと」っ
てこと。
どう動くかは、立って腰に手を当てて腰を反らせる(3秒間)という運動を紹介す
るだけ。
これだけで治った・改善したって方は、本当に軽症の方です。
そして、本当に長期に腰痛で動けない・動きが制限されていると、3秒間腰を反ら
すなんて出来ないか、それだけでは満足なQOLに戻す事は困難です。
”リハビリとして”どう動けば良いのか、どんな運動をすれば良いのかをしっかりと
教え、実践する期間が必要です


映像を見るだけで治癒・改善したのではなく、動くことで腰痛の起きにくい筋肉
活動・筋肉のコーディネートされた動きを少しは取り戻せたから、腰痛が改善し
のです。

認知行動療法についても、同様のことが言えます。

http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/a01.html
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 22:22 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
困ったもんだNHKスペシャル『腰痛・治療革命 〜見えてきた痛みのメカニズム〜』2
JUGEMテーマ:肩こり、腰痛

NHKスペシャル『腰痛・治療革命 〜見えてきた痛みのメカニズム〜』では、
慢性腰痛(3ヶ月以上続く腰痛)の原因が脳(DLPFC)にあったと断言しています。
しかし、実際に慢性腰痛患者の何%の方が脳の検査(MRI)をしているでしょうか
脳の検査までしている方は、ほとんどいないと思います。
つまり、慢性腰痛の患者はDLPFCに萎縮があると言う事は出来ません。

前回まとめた内容の
1.慢性腰痛(3ヶ月以上続く腰痛)の患者の脳の一部DLPFCと言う部位が萎縮している
は、外国の研究者が見つけた事ですが、これをどう解釈すれば良いでしょうか?

2.DLPFCは脳にできた痛みを感じる回路の働きを抑える(痛みを抑える)
は事実のようです。
DLPFCは元々うつ病等との関連が高い部位として注目されたようで、喜び、悲しみ、不安、
恐怖などの情動を司り好悪・快不快を判断したりストレス反応に関係する扁桃体の働きを抑
える
働きもします。

番組では紹介されていませんが、他の研究によると、疼痛が続く患者のDLPFCは活動が活
​発になっているそうで、痛みが続く事でDLPFCが痛みを抑えようと、あるいは痛みによる
ネガティブな情動やストレス反応を抑えようと活動が活発になるのでしょう。

ある働きを求められて活発に活動した組織が、結果的に疲労消耗して萎縮する事も身体で
は観られる現象のようです。
あるいは、抑えようとしたストレス反応に負けて、そのストレス反応によって萎縮したの
かもしれません。
どっちにしろ、慢性腰痛患者のDLPFCが必ず萎縮しているという証拠は、現在のところ
ないはず
です。また、例え慢性腰痛患者のDLPFCが必ず萎縮していることが確認できた
としても、それは、DLPFCが萎縮したが故に痛みが慢性化したのか、慢性化した腰痛
(痛み、不安・恐怖、ストレス)が原因で萎縮したのか、どっちとも言えないと思います。
つまり、DLPFCの萎縮が慢性腰痛の原因とは言えない事になります。

このことは、腰痛患者を検査したら腰椎分離症が見つかったから、腰椎分離症を腰痛の原
因と決めつけたのと同じ誤りである事になります。腰椎分離がみられ腰痛のない方はかな
り大勢いる事がわかっています。

3.痛みの回路を抑えるDLPFCが萎縮してしまったので、腰は悪くなくなっても脳が痛みを
感じ続ける
4.慢性腰痛の患者が持っている痛みに対する恐怖やストレスがDLPFCを萎縮させている
の2つは、特段に否定する気はありません。いろいろと調べてたら、あり得る事だと納得
しています。
しかし、慢性腰痛患者の検査として、脳(DLPFC)を検査することが必須になっていない
以上、こうした現象が慢性腰痛患者にどれだけの割合で起こっているのか、そもそも本当
に高い率で発生しているのかは、謎のままです。


ですから、今の時点で、「最新の研究でわかってきてこと」として、慢性腰痛の原因は脳
にあると断言する事には、大いに危険を感じます


http://www.japanpt.or.jp/conference/jpta50/abstracts/pdf/0768_P2-C-0768.pdf
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 21:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
困ったもんだNHKスペシャル『腰痛・治療革命 〜見えてきた痛みのメカニズム〜』
JUGEMテーマ:肩こり、腰痛

7月12日(日)夜に放送されたNHKスペシャル
『腰痛・治療革命 〜見えてきた痛みのメカニズム〜』を録画して14日に観ました。

冒頭、筋膜性疼痛研究会MPS研究会)の木村裕明会長(木村ペインリニック院長) が登場。
超音波エコー下で筋膜の重積部に薬液を注射すると、みるみる重積が剥がれ広がり、
注射後の腰痛患者に著功があらわれました。
その次に、椎間板ヘルニアの手術の紹介があり、いよいよ本編となるわけです。

この番組は、ネットで観ると、かなり紹介されていますし、反響が大きかった事が
うかがえます。
本編の内容をまとめると、
1.慢性腰痛(3ヶ月以上続く腰痛)の患者の脳の一部DLPFCと言う部位が萎縮している
2.DLPFCは脳にできた痛みを感じる回路の働きを抑える(痛みを抑える)
3.痛みの回路を抑えるDLPFCが萎縮してしまったので、腰は悪くなくなっても脳が痛みを
感じ続ける
4.慢性腰痛の患者が持っている痛みに対する恐怖やストレスがDLPFCを萎縮させている
5.認知行動療法などの治療で、患者が恐怖やストレスから解放されると、DLPFCが再び
活性化する
6.5の結果、慢性疼痛が改善・治癒する
といったところですが、一言で言うと、
慢性腰痛の原因は恐怖の生んだ幻である」と極めて乱暴な物になっています。
だから、腰痛は怖くないって映像を見るだけで治っちゃうと言ったこれまた誤解を招く説明
が出てきます。
終盤、出演していた俳優の笹野高史さんが「病は気から、、、か。」て言い、
日本腰痛学会理事という菊地臣一医師が頷く。
これは、絶対に言っちゃいけない言葉、医師が安易に認めちゃいけない言葉。
これを聞いて、絶望する腰痛患者さんがいるかも知れない事を考えなくては。
この番組で何が問題なのか、ひとつひとつ考えてみたい。

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2015/0712/index.html#hosogo
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 20:51 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
シェイプアップ効果を大げさに見せる写真撮影のトリック

「結果にコミットする」と言うキャッチコピーで、有名タレント(元プロボクサー)を起用してシェイプアップ前後の画像を見せて注目を集めている某ジムのやり方は、心身の健康と社会生活を営む上で、大いに問題有りと思っています。2ヶ月で、健康的に、また仕事や普段の生活に支障無く「凄い身体(マッチョ)に変身できる」ってのは勘違いです。


以下は、私がFacebookで3月31日書いた記事の一部です。
「たった2ヶ月16回のトレーニング(スタンダードなコースは1回50分!)で、筋肉量がそんなに増えるわけは無い。効果の大部分は食事制限であろう。これは、心身へ負担が相当かかる。医師会や医学会(内科・心療内科など)で、注意コメントを出すことは出来ないのかな?」
こんなことは、トレーニングと栄養の基本的知識があれば、誰でもわかることなんです。


お客さんからも聞かれて説明したことも何度かありますが、一般の方々にはあのコマーシャルの画は強烈な印象を与えているようです。そこで、丁度私自身シェイプアップを実行しようとしているところなので、私自身の体を使って説明していきたいと思います。

先ずは、シャイプアップ実行前の私の体を、カメラで撮影しました。
下の2枚の写真は、どちらも今朝(2015年6月21日)撮影した物です。
腹緩め写真  腹締め写真

このように、同じ時に撮った写真でも、姿勢や体の筋肉の使い方で、こんなに見た時の印象を買える事が出来るのです。
今後、実際にトレーニングだけで体を絞り込みます。2ヶ月後には、どんな体をお見せできるでしょう?
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 15:14 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
”さする”と神経再生に効果?
 マッサージが、医療においてどのような可能性を有しているかを
示してくれるかも知れない研究が発表されました。

痛みは「さする」と効果あり 無意識に神経修復 群馬大

(これより引用1)
 打撲した場合などに痛む場所を「さする」という動作には、
傷ついた神経回路を修復する効果があるとの研究結果を、
群馬大大学院柴崎貢志講師(分子細胞生理学)らがまとめた。
柴崎講師は「さする行為には、神経再生を促そうという無意識な意味が
込められているのではないか」と話している。

 柴崎講師らは、神経細胞にあって熱を感じる
センサーの役割を果たすタンパク質「TRPV2」に注目。
マウスなどの細胞を使った実験でTRPV2があると、
TRPV2をなくした細胞に比べ、
刺激を伝える神経の「突起」という部分が長く伸びた。

 「さする」行為と同様の刺激を与えるため、
TRPV2がある人間の神経細胞を載せた膜を引っ張ると、
細胞が反応することを確認
TRPV2物理的な刺激を受け止めるセンサーの役割を果たし、
人間でも突起が伸びて神経が再生するのを促していると考えられるという

 将来、胚(はい)性幹細胞ES細胞)や
iPS細胞などを使った再生医療技術と組み合わせると、
効果的な神経再生に役立つ可能性があるのではないかとしている。
自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)との共同研究で行われた。
(引用1終わり)
(太字表示、カラー文字、下線挿入、改行は管理人による。)


上記のニュースよりも詳しい
自然科学研究機構生理学研究所のサイト内記事 ↓

(これより引用2)
TRPV2センサーは、
「さする」などの伸展をうながす物理的な力がかかったときに働き、
神経が突起を伸ばすことを助けていることがわかりました。
傷ついた神経の再生にもつながる成果です。
(引用2終わり)

こちらの文の方がわかり易いように思います。

とは、
自然科学研究機構生理学研究所のサイトの図からすると、
軸索のように思えるが、樹状突起もなのかはわからない。           ※1
さすったり、引っ張ったりするだけでなく、
マッサージの手技での揉んだり押したりしても、
神経細胞との位置関係によって伸張刺激になるのではないかと
思います。

まあ、研究の進展を期待したいと思いますが、
その一方で我々あん摩マッサージ指圧師は、
日々客観的な批判に耐えられるような施術実績を積み上げるよう
努力しなければいけないと思います。


※1 神経の「突起」(軸索樹状突起

軸索樹状突起の伸張や再生について、
説明しているサイトがあったので以下にリンクを張っておく。

今回の発見は、この『神経突起の伸張と再生』とは
別のメカニズムを見つけたと言うことかな。
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 19:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
梨状筋について 2
前回は、梨状筋症候群という疾患があることに触れたところで
終了しました。

梨状筋症候群とは、
何らかの原因によって、座骨神経が梨状筋に圧迫されて
臀部や下肢に痛み・しびれなどの症状が現れる疾患です。
(詳しくは、梨状筋症候群/たはら整形外科のサイトより
      梨状筋症候群/飛翔会グループのサイト内、スポーツドクターコラムより)

私は、腰痛に対するマッサージ 3(腸腰筋 2)」でも書きましたが、
学生時代に陸上をやっており、
その頃腹筋を鍛えるつもりで、実は腸腰筋を酷使していて、
「こうした 「腹筋運動」 をやった後は、
腹筋よりも腰〜臀部の奥が疲れて張りが出ました。
その疲労が積もりつもって、
いつも臀部の奥の辺りに重苦しい感じがするようになり

よく臀部を握りこぶしで叩いたりしていました。」
という状態でした。

この頃は、まだ梨状筋症候群と言える程ではなかった
(予備軍と言ったところ?)でしょうが、
この深部殿筋の緊張は数十年経った後も
私のからだの内部でじわじわと進行し、
3年前の3月頃、終に座骨神経痛となって現れました。
その痛みは、私が立つと
左脚の脛(外側)を膝の下(腓骨頭辺り)から足首の方まで走るように現れ、
歩く時に左脚荷重になる度に激しく痛みました。
左の臀部には常に重苦しいような鈍い痛みがつきまとっていました。

結局、左脛に放散する痛みは、
痛み出した当日と翌日の2度に渡って自分で左臀部に鍼を打つことで
なんとか消失しました。                          ※1
もちろん、痛み(座骨神経痛)の原因や鍼を打つポイントを
私なりに絞り込んだ上で施術した結果です。


ところで、梨状筋症候群については、
私が鍼灸・あん摩マッサージ指圧の専門学校で学んでいた頃に、
勉強する中でこうした疾患があることを知りましたし、
私が大学生時代に苦しんでいた臀部の重苦しさは
一つには梨状筋の緊張が原因であろうという想像もしていました。

ところが、その頃呼んだ本による梨状筋症症候群の説明は、
先天的に座骨神経が2つに分かれた梨状筋の筋腹の間を通るなど、
形状的に梨状筋座骨神経が挟まれ圧迫されやすいことで起こると       ※2
説明されていました。

私がインターネットを始めた8年程前などに
梨状筋梨状筋症候群と検索しても、
ごく少数の件数しか検索されませんでした。
それが、今では大量の件数が引っかかってきます。
時代の変化の速さを痛感しています。

梨状筋症候群は、
先天的な形状だけが原因ではないことがネット上で明確に知られるようになり
よかったと感じています。


※1 自分で自分の左臀部に鍼を打つ
私の手は右利きなので、左臀部に鍼を打つのは非常に難しいのです。
身体がそう柔軟ではないので、
右手が左臀部の一部にしか届かないし、
自分の身体を自分の手(指)先で触って調べたり
その時の圧痛などを正確に判断するなど
自分を第三者的に診て判断するのも難しいことです。
できれば、他の治療家に鍼を打ってもらいたかったのですが、、、。


※2 梨状筋と座骨神経の先天的な形状
(以下は2009年4月29日にアップした。)
 梨状筋と座骨神経
  ピンク:梨状筋    グリーン:座骨神経(総腓骨神経・脛骨神経)
  ブルー:下殿神経            ※着色は私が行なった
  (『解剖学実習アトラス』 河西達夫 著、南江堂、P28 図1-26より)

この図のデータが、何時、どこで、誰によって、何人を対象に、
どのようにして得られたのかはわかりませんが、
これによれば、梨状筋症候群になりやすいと言われる
座骨神経(総腓骨神経)が梨状筋を貫くパターンが
全体の37%になることになる。

下殿神経が梨状筋を貫くパターンが全体の49%にもなるし、
後大腿皮神経が梨状筋を貫くパターンは全体の30%に上る。
大殿筋を支配する下殿神経が梨状筋の圧迫を受ければ、
大殿筋の緊張や大殿筋の筋力低下が起こるかもしれないし、
後大腿皮神経が梨状筋の圧迫を受ければ、
大腿後面の感覚異常(しびれ、痛み)が起こるかもしれない。


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年4月25日の記事を手直しして転載したものです。)
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 19:58 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
梨状筋について 1
  中殿筋と深部外施六の筋模型

梨状筋は、深部にある小さな筋で力も小さく、
梨状筋だけで脚を外旋させたり外転させることはないと考えます。
他の浅層にある大きな筋(大殿筋・中殿筋縫工筋など)の働きを
助ける役割を果たしていると考えられます。
具体的には、浅層の大筋群が股関節を動かす時に、
大腿骨頭寛骨臼に引きつけ
保持する働きをします。
関節の運動軸を保持することで、
大きな力の出せる筋の働きを補助している
と考えられます。

円を描く時に使うコンパスを例に説明すると、
コンパスの軸となる脚が動いてしまうと円が上手く書けず、
描く円の形がゆがんでしまいます。
コンパスの軸になる脚の先端の針(大腿骨頭)を、
円の中心(寛骨臼)に固定してずれないようにすれば、
もう一方の脚の先の鉛筆で奇麗な円が描くことが可能になります

この例で言えば、
コンパスの先を回す指先が大腿を動かす大筋群(大殿筋・中殿筋・大腿直筋など)であり、
針先(大腿骨頭)を円の中心(寛骨臼)に固定してずれないようにしているのが、
梨状筋(+深層の小さな筋群)ということになります。

上記の働きをする深層の小さな筋群と言うのは、
梨状筋の他、上双子筋内閉鎖筋下双子筋大腿方形筋外閉鎖筋の諸筋であり、
深層外旋六筋とまとめて言われることも多いです。
その役割からみて、
肩関節における回旋筋腱板に      ※1
対比することができそうです。


次回は、梨状筋に関連して重要な
梨状筋症候群という疾患について書く予定です。


※1 肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)

  ローテーターカフを構成する筋

臀部(股関節後部)にある深層外旋六筋と対比させたので、
肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)も棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4筋を
まとめて呼ぶ呼び方と思われるかもしれないし、
最近はそのように書いているサイトや書物が多いが、
それならば肩回旋筋と呼べば良い。

しかし、解剖書などを読んでも、
肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)は
この4筋そのものの呼び方ではない。
4筋の腱は合流してでほとんど一体となり、
肩関節の関節包に入り込んで、
言わば関節包の一部をなして補強している。
これを肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ぶ。
それ故、これら4筋を呼ぶのに「ローテーターカフ筋」「腱板筋」などという
記述も見られる。


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年4月21日の記事を手直しして転載したものです。)
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 19:33 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
腸腰筋 まとめとストレッチング
腸腰筋について大切なことをまとめます。

1.腸腰筋は、他の股関節周囲の筋群(中には拮抗筋も含む)と共同して、
 立っている時や寄りかからずに座っている時に
 股関節〜骨盤・脊柱(背骨)を固定・安定させて支持する働きをしている。
2.腸腰筋の(持続的な)緊張・短縮は、骨盤の前傾と腰椎の前弯を強める。
3.腸腰筋の(持続的な)緊張・短縮が、腰痛の原因になる。
4.腸腰筋の緊張・短縮は、臀部など他の筋の緊張・短縮の原因になることがある?
 (少なくとも影響がある。)

1と2については、今後『姿勢』とか『バランス』とかの話題になれば、触れると思います。
3と4については、スポーツ外傷・傷害についての話で触れることがあるでしょう。
今回4について、少し話を進めてみます。

陸上競技の短距離では、
大腿の裏の筋(ハムストリング)の肉離れが比較的多く起こります。    ※1
ハムストリングを肉離れすると、
これらの筋を伸ばすと痛みを誘発するのでストレッチできません。
下の写真では、肉離れした右脚のハムストリングを伸ばすテストをしたところ、
これ以上挙げると痛みが出るという限界で右脚を止めています。      ※2
 SLRテスト 60°

しかし、右側の腸腰筋を伸ばすことはできるので、
腸腰筋ストレッチングを行なった後は
 腸腰筋Partner stretching

ハムストリングの柔軟性が改善し
右脚をもっと高く挙げることができるようになります。
(両脚の間の角度で、多くは5°〜15°くらい改善します。)

肉離れを起していないハムストリングの柔軟性も、
腸腰筋のストレッチングで改善します

このような現象が起こることは、
腸腰筋の柔軟性(緊張)がハムストリングの柔軟性(緊張)に
影響を及ぼすこと示しています

ですから、ハムストリングの肉離れの予防の為に
腸腰筋のストレッチングは有効である
と考えます。

実は、スプリント(短距離走)でも長距離でも、
ランニングに腸腰筋は重要な働きをしていて、
多くの陸上競技選手が腸腰筋の疲労からくる緊張・短縮と
それに影響されたハムストリングや(前回お話しした)臀部の緊張・短縮に
苦しめられています。
長距離のレース前に、上臀部をこぶしで叩いているランナーを良く見かけます。
私もよくそうしていました。
今度テレビでマラソン・駅伝などの長距離レースが放送されるときは、
そんな点にも注目してみると思います。
多分、選手が臀部を拳等でたたく場面を目にできると思います。


※1 ハムストリング
大腿(だいたい:ふともも)の裏側にある筋群。
大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3種類の筋がある。
もともとはそれらの筋の腱の部分を指していたらしいので、
筋を呼ぶときはハムストリング筋(Hamstring Muscle)と呼ぶこともある。
膝の裏は中央部分が凹み、
内側と外側の両サイドに腱が張っているのが肉眼でもよく見て取れる。
内側の腱は半腱様筋と半膜様筋の、外側の腱は大腿二頭筋の腱である。


※2 ハムストリングの柔軟性をみる
写真のように、仰向けに寝た人の片脚を膝を伸ばしたまま持ち上げる、
SLR(Straight Leg raising ストレート・レッグ・レイジング)テスト
という検査法。
本来は、腰椎や椎間板の異常、座骨神経の根症状の有無などを調べるテストだが、
ハムストリングの柔軟性を調べることにも利用できる。
挙げた脚とベッド上に残った脚とが作る角度の大きさで評価する。
写真は、だいたい60°くらいか。
ハムストリングを肉離れした直後では、30°も挙がらないことは珍しくない。


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年3月17日の記事を手直しして転載したものです。)
| フィジカル系職人 | 人の身体 どう理解するべきか? | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
腰痛に対するマッサージ 3(腸腰筋 2)
腸腰筋について、もう少し考察してみます。

私は、中学2年から大学時代を通じてずっと陸上競技をしていて、
トレーニングとして腹筋運動をよくやっていました。
Sit up(上体を起こす腹筋運動) をやる時、
後ろに体を倒した時に背中が床(地面)に着くと楽だが、
背中を床(地面)につけないで途中で止めてまた起き上がる方がきついとも
よく言われていたので、背中を床(地面)に着かないようにやったりもしました。
時には5kgのおもりを胸に抱えてやったりしました。

また、高校〜大学時代は
仰向けに寝た状態で膝を伸ばしたまま両脚を持ち上げる脚挙げ腹筋や、
V字腹筋などもよくやりました。

こうした 「腹筋運動」 をやった後は、
腹筋よりも腰〜臀部の奥が疲れて張りが出ました
その疲労が積もりつもって、
いつも臀部の奥の辺りに重苦しい感じがするようになり、
よく臀部を握りこぶしで叩いたりしていました。

それが、当時は不思議だったのですが、
29際の頃専門学校に行き始めて解剖学を勉強して腸腰筋を知った時、
その謎が解けたように思いました。

Sit up は起き上がり出して上背部が持ち上がるところまでは
腹筋群の力で起きますが、
下背部(横隔膜の辺りから下)が床から離れて持ち上がるときからは
腸腰筋主体へとかわります

ですから背中を床に着けないようにSit upをやると
腸腰筋を鍛えていたことになります。
脚挙げ腹筋(よく「下部腹筋」を鍛えるなどと紹介されている)やV字腹筋も
腸腰筋主体で行なわれる運動
です。

 sit up参加筋   脚挙げのモーメント 脚挙げ/腸腰筋の力
            (上体を40kg、脚を20kgとした時)
(上の図3点:『目でみる動きの解剖学 新装版』R.ヴィルヘード著、
金子公宥・松本迪子訳、大修館書店 より)

つまり、私は腹筋を鍛えているつもりで腸腰筋ばかりに負荷をかけていたので、
腹筋よりも腰や臀部が疲労して短縮していた
のです。
さらに言えば、これらの「腹筋運動」では、
腸腰筋が短縮した位置(姿勢)で働かされています。
筋は縮んだ位置では発揮できる力が弱くなります。           ※1
ですから、腸腰筋は力が出にくい位置で強い負荷をかけられ続けていたわけです。
こうして、ストレッチされることの少ない腸腰筋は短縮してしまった    ※2
ということになります。

これは私だけが経験したことではなく、
多くのアスリートやスポーツ経験者が経験してきたことであり、
そして今も多くの方が経験していることでもあります。
腰痛には腹筋を鍛えることが有効と言われていますが、
腹筋のつもりで腰痛の大きな原因の一つである腸腰筋に大きな負荷をかけ、
腰痛を予防するつもりが返って腰痛を起こしたり
腰痛を長引かせたりすることもあります


ここで、注目してもらいたいのが、
腹筋トレーニングのつもりで腸腰筋を酷使し、
その結果腸腰筋の緊張が強くなったのだとしても、
筋の張りが腰椎の周囲だけではなく、
臀部にも張りが出て重苦しい感じがしていた
ということです。
いや、むしろ臀部の方がつらかったことの方が多かったのです。

これは、腸腰筋が他の股関節周囲の筋と共同・協調して
下部脊柱・骨盤・股関節という人体の中で重要かつ強大な力のかかる部位の
固定・安定を担っていることと関係している
のでしょう。
つまり、腸腰筋が酷使されていたということは、
同時に臀部の筋をも酷使する結果につながっていたわけです。
私は、臀部の筋の中でも、中殿筋と梨状筋を重視していますが、
腸腰筋とともにこの2つの筋が緊張・短縮しているケースが非常に多く、
これらの緊張・短縮が同時期に起こることは
むしろ自然なことなのだろうと見ています。

 中殿筋と深部外施六の筋模型


私は、腰痛治療でマッサージする上で腸腰筋を重視していますが、
腸腰筋は背部というよりも腹部の奥にあり、
その下部〜腱も鼠径部から大腿の前内側の深部を通っていて
深部に力を及ぼすマッサージをするとはいえ、
直接的にはもちろん間接的にでも十分マッサージすることはできません


それを補って、腸腰筋の緊張を弱める効果があるのが、
実は骨盤外側〜後部の筋(中殿筋梨状筋など)のマッサージなのです。
骨盤・股関節周囲のマッサージで中殿筋や梨状筋などが弛緩してくると、
腸腰筋も弛緩してくる
のです。
(これら、骨盤外側〜後部の筋については、
また後のエントリーで書いてみたいと思います。)
ですから、私は腰椎両傍よりも骨盤上(下部腰部・臀部)の筋のマッサージを
腰痛に対するマッサージのメインに位置づけています。

  股関節massagepoint02  股関節massagepoint01  骨盤上のマッサージ・エリア

そして、腸腰筋そのものには、
ストレッチングをしてあげることが大変に効果的です。
(ストレッチングについては、次回にでも書きます。)

私が陸上競技の中長距離選手だった大学時代、
仲間同士でマッサージをしたものでしたが、
骨盤上の仙骨すぐ脇のところともう少し外側のところに、
非常に硬くて推されると誰でも痛がるところがあることは知っていました。
あまりに痛いが故に、そこは推させない、推さないところとなっていました。
しかし、今考えると、そこは重要なマッサージポイントだったのです。
そのことを知っていれば、大学での陸上競技生活は、
違ったものになっていたのかも知れません。


※1 筋は縮んだ位置では発揮できる力が弱くなる

筋は、その長さが変わると、発揮できる力の大きさが変わる。
最大の力を発揮できる長さがあり、それよりも伸びていても縮んでいても
発揮できる力は小さくなる

筋はふつう関節を動かす役目を持っているから、
関節を伸ばす筋であれ曲げる筋であれ、
その関節の動く範囲(能動的な関節可動域)の中間よりも
少し関節角度が大きい位置での筋の長さ(中間よりも少し長い)の時、
一番大きな力を出すことができる。
Sit upや「脚挙げ腹筋」や「V字腹筋」の時、
腸腰筋の長さは中間よりも短いところで行なわれることが多い



※2 ストレッチされることの少ない腸腰筋

真に腸腰筋を伸ばすことのできるストレッチングを
スポーツ現場であれ本であれ、ほとんど見ることがない。
セルフ・ストレッチングでは、私が勧めるのは
大修館書店刊の「柔軟性トレーニング その理論と実践
(クリストファー.M.ノリス著、山本利春 監訳、吉永孝徳/日暮 清 訳)の
エクササイズ32、33であり、
パートナー・ストレッチングについては、次のエントリーで紹介したい。


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年2月22日の記事を手直しして転載したものです。)
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